【数Ⅱ高次方程式】解の一つが与えられた4次方程式の解き方と因数定理の仕組み

x4+6x3+29x228x+35=0x^4+6x^3+29x^2-28x+35=0

の解の一つが 1+3i2\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2} のとき,残りの解をすべて求めよ。


これどうやって解こうか?

xx に数字入れて 0 にするんですよね。

確かにその方法あるけど,今回は xx に 1 とか -1 とか代入しても左辺が 0 にならない。ようするに,そのときの 1 とか -1 とかって解の一つってことだよね。でも今回は解の一つとして 1+3i2\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2} が与えられている。だから,それを使ってみる。

はあ。

複素数の解の性質

一般にある高次方程式の解の一つが複素数であるとき,その共役な複素数も解である。

これ,教科書で習うヤツ。

ああ,何となく覚えあるかも。

ということは 13i2\cfrac{1-\sqrt{3}i}{2} も解であるといえる。4次方程式は解が4つできるはずだから,あと二つを求めればよい。

でも因数定理使えないですよ。

共役な複素数を因数定理に当てはめる

実はここから因数定理を使う。

f(x)=(x1+3i2)(x13i2)Q(x)=0f(x)=\Big(x-\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2}\Big)\Big(x-\cfrac{1-\sqrt{3}i}{2}\Big)Q(x)=0

ここで Q(x)Q(x) は割り算したときの商を表すヤツ。

これどういうことでしたっけ?

xx1+3i2\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2} を代入すると最初のカッコが (1+3i21+3i2)\Big(\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2}-\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2}\Big) ってなって 0 になる。0 のかけ算だから式全体が 0 になる。13i2\cfrac{1-\sqrt{3}i}{2} のときも同様で xx にこれを代入すると,今度は真ん中のカッコが 0 になるよね。

なりますね。

で,これはもとの式を (x1+3i2)(x13i2)\Big(x-\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2}\Big)\Big(x-\cfrac{1-\sqrt{3}i}{2}\Big)×(式) の形に因数分解できるって意味なの。これが因数定理。

何かピンとこない。

因数定理の仕組み

例えば x23x+2=0x^2-3x+2=0 という方程式があったとする。これは (x1)(x2)=0(x-1)(x-2)=0 と因数分解して x=1,2x=1,2 が解になる。言い換えると,式に x=1x=1 を代入すると (11)(12)=0(1-1)(1-2)=0 ってなって恒等式が成り立つ。だから,x=1x=1 は解であるっていう解釈だった。

でしたね。

これは逆に言うと,方程式は(xx-解)で割り切れるってことでもあるよね。これも例えばだけど,式を解じゃない数,(x3)(x-3) で割ってみる。実際ひっ算でやってみると,商が xx で余り 2 になる。つまりx23x+2=(x3)x+2=0x^2-3x+2=(x-3)x+2=0となるよね。

なりますね。

ここから分かるのは,解じゃない数を使って割っても余りがでる,つまり割り切れないってこと。

なんで割り切れないの?

解である 1 や 2 を代入しても (x3)x(x-3)x(13)×1(1-3)\times1 とか (23)×2(2-3)\times2 になるから 0 にならないでしょ? だから余りの項があって,それを足すか引くかしないと式全体で 0 にはならない。

でも,式を (x1)(x-1) で割れば (x1)Q(x)(x-1)Q(x) ってなって,Q(x)Q(x) がどんな式だろうと x=1x=1 を代入すれば式は 0 になる。つまり,余りの項がいらない。「余りがない=割り切れる」っていう理屈。

確かに。でも分かりにくい。

そうそう。因数定理って三次方程式解くときよく使うけど,理屈自体は直感的に分かりにくいよね。

だからとりあえず,方程式は解が分かってると (xx-解)の積に直せるってのだけ覚えて,そういうものだと納得するもの。細かいことは気にしない。

りょーかいです。

ひっ算で割ってみる

f(x)=(x1+3i2)(x13i2)Q(x)=0f(x)=\Big(x-\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2}\Big)\Big(x-\cfrac{1-\sqrt{3}i}{2}\Big)Q(x)=0

展開して

{x2(1+3i2+13i2)x+1+3i213i2}Q(x)=0\Big\{x^2-\Big(\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2}+\cfrac{1-\sqrt{3}i}{2}\Big)x+\cfrac{1+\sqrt{3}i}{2}\cdot\cfrac{1-\sqrt{3}i}{2}\Big\}Q(x)=0

{x21+3i+13i2x+(1+3i)(13i)4}Q(x)=0\Big\{x^2-\cfrac{1+\sqrt{3}i+1-\sqrt{3}i}{2}x+\cfrac{(1+\sqrt{3}i)(1-\sqrt{3}i)}{4}\Big\}Q(x)=0

{x222x+1(3)2(1)4}Q(x)=0\Big\{x^2-\cfrac{2}{2}x+\cfrac{1-(\sqrt{3})^2(-1)}{4}\Big\}Q(x)=0

(x2x+1)Q(x)=0(x^2-x+1)Q(x)=0

ここ計算ミスしやすいから注意。

再びさっきの式に戻るけど,実際にひっ算使って割っていく。理屈からすれば割り切れるはず。

よって

f(x)=(x2x+1)(x2+7x+35)=0f(x)=(x^2-x+1)(x^2+7x+35)=0

で,ここから?

これがイコール 0 になる場合だから,x2x+1=0x^2-x+1=0 または x2+7x+35=0x^2+7x+35=0 ということになる。あとは普通に二次方程式を公式放り込んで解けばよい。

x=1±3i2x=\cfrac{1\pm\sqrt{3}i}{2}7±91i2\cfrac{-7\pm\sqrt{91}i}{2}
因数定理の式作るところまでいったらあとは大したことないかも。

そうそう,解が二つ分かったとき (xx-解)(xx-解)×Q(x)Q(x) の形がひらめくかどうかの問題。経験値ためてレベルアップしてね。