教科書で表にまとめられているけどそれで覚えるのは難しかったりするから,順番に特徴をおさえていくといいよ。
金属のイオン化傾向
金属が水溶液中で陽イオンになろうとする性質を金属のイオン化傾向という。大事なのは二種類の金属があるときにイオン化傾向の大きい方がイオンになって水溶液中に溶けだすところ。
たとえば,亜鉛版
Zn を硫酸銅(II)
CuSO4 水溶液に入れる。
酸化数のこと。硫酸銅(II)の酸化数を書くと
+2Cu−2SO4 ってなるから銅の酸化数が +2 になるでしょ?これのこと。
ある。これと別に硫酸銅(I)
Cu2SO4 というのがあって,硫酸銅にも種類があるから区別が必要。ちなみにこのとき
Cu の酸化数は +1 になる。
話戻すね。このとき
Cu2+ が電離して水溶液中に溶けていて,イオン化傾向の関係で言うと
Zn >
Cu だから
Zn の方がイオンになって
Cu はイオンじゃなくなる。
そうそう。はじめは
Cu2+ が水の中で縄張り支配してたのに,あるとき実力で上回る
Zn2+ にイオンの座を奪われる,縄張りを追われた
Cu は金属固体として屍の山を積み上げる,みたいな仁義なき戦い。
Zn→Zn2++2e−
Cu2++2e−→Cu
Zn が電離するとき電子を 2 個放出するけど,それを
Cu2+ が受け取って金属固体として析出する。こうやって 2 種類の金属の間で電子の受け渡しが行われているところ覚えておいて。
イオン化傾向が大きいもの
リチウムLi カリウムK カルシウムCa ナトリウムNa
イオン化傾向はざっくり 3 つのグループに分けて理解しておくとよい。まずイオン化傾向の大きい上の 4 つのグループの特徴。
・空気中の酸素と激しく反応して酸化物になる。
・常温の水と反応して水素を発生する。
2Na+2H2O→2NaOH+H2
・塩酸や希硫酸と反応して水素を生じる。
イオン化傾向が中程度
マグネシウムMg アルミニウムAl 亜鉛Zn 鉄Fe
ニッケルNi スズSn 鉛Pb
このグループは
Mg,
Al,
Zn,
Fe までおさえておけばよい。
・空気中の酸素と反応して,表面に酸化物の被膜を生じる。
・Mg は熱水と反応して水素を生じる。Al,Zn,Fe は高温の水蒸気と反応して水素を生じる。
・塩酸や希硫酸と反応して水素を生じる。
Fe+H2SO4→FeSO4+H2
水素は中程度と小さいものの間
水素H2
水素は金属ではないのだけど,これを境にしてイオン化傾向の低いヤツとそれ以外を区別できる。
要するに水素よりイオン化傾向が大きい金属と水素の組合せで言うと,水素はイオンの座を奪われる側だから
H2 になって気体の水素が発生するということ。逆に,水素よりイオン化傾向が小さいものは水素イオンの座を奪えないから気体の水素は発生しない。
イオン化傾向の小さいもの
銅Cu 水銀Hg 銀Ag 白金Pt 金Au
上で述べた通りこのグループは
H+ に取って代わることができないので,塩酸や希塩酸には溶けない。
・空気中の酸素とは反応しない。
・水と反応しない。
・Cu,Hg,Hg は硝酸や熱濃硫酸には溶ける。
・Pt,Au は王水にだけ溶ける。
濃硝酸と濃塩酸を体積比 1:3 で混合したもの。普通の酸で溶かすことができない金属を溶かすことができるので,電子部品のリサイクルで金とかを回収するときに使われている。ただし,非常に危険。
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