【高校化学基礎】酸と塩基
化学基礎の酸と塩基の意味がさっぱり分かりません。どっちがどっちかごちゃごちゃです。
確かにこの辺で化学で急に分からなくなるよね。
酸
酸と言えばまず塩酸 HCl だよね。HCl って物質としては塩化水素って言うんだけど,水に溶けたやつを塩酸って呼んでる。で,塩化水素は水に溶けるとイオンとなって電離する。
塩酸 $\text{HCl}\longrightarrow \text{H}^++\text{Cl}^-$
水分子って電気的な偏りがあるから,近くにある物質を電気的に引っ張るの。だからこの手の物質って水に溶けると水分子に引っ張られてパッカーンって二つに割れてしまう。水って身近な存在だけど,結構不思議な性質持ってるよね。教科書の上ではイオン式という単なる文字でしかないけど,水に溶けてるからイオンになるっていう前提は知っておいたほうがいい。
水に溶けてないとイオンにならないんですね。
こうやってイオンになったとき $\text{H}^+$ ができるヤツが酸。あと硫酸と酢酸くらいは覚えて。
硫酸 $\text{H}_2\text{SO}_4\rightarrow 2\text{H}^++{\text{SO}_4}^{2-}$
硫酸は $\text{H}^+$ が 2 個できる。こういうのを 2 価の酸という。ちなみに塩酸は 1 価の酸。
酢酸 $\text{CH}_3\text{COOH}\rightleftarrows \text{H}^++\text{CH}_3\text{COO}^-$
酢酸って $\text{H}_3$ の部分はイオンにならないんですか?
試験で聞かれる話じゃないけど共有結合とイオン結合の違い。$\text{H}_3$ は最初の C と結合しているんだけどこっちは共有結合。最後の O と H はイオン結合。電気陰性度の違いでこうなるけど,そういうものだと思っておけばよい。
塩基
次に塩基。まず出てくるのは水酸化ナトリウム NaOH。同様に水に溶けるとイオンになる。
塩化ナトリウム NaOH $\rightarrow \text{Na}^++\text{OH}^-$
水酸化物イオン $\text{OH}^-$ ができるヤツが塩基。
中学で習ったアルカリとは違うんですか?
同じと言えば同じ。塩基の中でも水に溶けるヤツをアルカリって言ってる。アルカリは塩基の一つ。
あと注意した方がいいのがアンモニア $\text{NH}_3$。これ塩基。
OH 無いですよ。
水に溶けると,$\text{H}_2\text{O}$ の H を1個引っこ抜いて $\text{OH}^-$ ができる。
$\text{NH}_3+\text{H}_2\text{O}\leftrightarrows{\text{NH}_4}^++\text{OH}^-$
これ塩基なんですか?
そう,1価の塩基。ここで広い意味での酸・塩基っていう考え方が出てくる。化学式書いたときに相手に $\text{H}^+$ を与えるヤツを酸,相手から $\text{H}^+$ を受け取るヤツを塩基という。アンモニアは相手から $\text{H}^+$ を受け取ってるから塩基。
電離度
酸や塩基を水に溶かしたときに,どのくらいの割合で電離するかを電離度という。酸・塩基って水に溶かしたときにパッカーンって割れてイオンになるって話だったよね。でも実際は全部そうなるワケじゃなくて,ものによってほとんどイオンになるヤツとあんまりイオンにならないヤツがある。ほとんど電離するヤツを強酸・強塩基,ほどんと電離しないヤツを弱酸・弱塩基と言う。
強酸の塩化水素 HCl,硝酸 $\text{HNO}_3$,硫酸 $\text{H}_2\text{SO}_4$ あたりは覚えるべし。あと弱酸の代表例である酢酸 $\text{CH}_3\text{COOH}$ も知っておくとよい。この中では硫酸だけ 2 価の酸であとは 1 価。
塩基は?
強塩基の水酸化ナトリウム NaOH,水酸化カリウム KOH,水酸化カルシウム $\text{Ca(OH)}_2$,水酸化バリウム $\text{Ba(OH)}_2$ あたりを覚える。水酸化カルシウムと水酸化バリウムは 2 価であとは 1 価。
化学式みたら何となく想像つきます。
で,最後に電離度の計算のやり方。
酢酸 0.5 mol を水に溶かしたとき,$\text{H}^+$ が 0.0085 mol 存在していたとする。このとき電離度は
$\cfrac{0.0085\space\text{mol}}{0.5\space\text{mol}}=0.017$
電離度に単位はないけど,0.017 は 1.7% と言い換えてもよい。要は割合求めるってこと。
段階的に電離する酸
あと,酸には段階的に電離するものがある。
段階的?
例えば二酸化炭素だとこんな感じ。
$\text{CO}_2+\text{H}_2\text{O}\leftrightarrows\text{H}^++{\text{HCO}_3}^-$
まずこれが第一段階。
${\text{HCO}_3}^-\leftrightarrows\text{H}^++{\text{CO}_3}^{2-}$
これで第二段階。こんな感じで $\text{H}^+$ が 1 個ずつ電離していくイメージ。二酸化炭素は水分子と結合することで水分子の $\text{H}^+$ が電離するっていう仕組みになってるのも注意して。
二酸化炭素が水に溶けたヤツって炭酸でしたっけ?
そう。炭酸は化学式としては $\text{H}_2\text{CO}_3$ だけど,実際にはイオンになって $\text{H}^+$ が電離した状態で存在しているってこと。
その他は?
硫酸 $\text{H}_2\text{SO}_4$ だとこんな感じ。
$\text{H}_2\text{SO}_4\rightarrow\text{H}^++{\text{HSO}_4}^-$
${\text{HSO}_4}^-\leftrightarrows\text{H}^++{\text{SO}_4}^{2-}$
$\text{H}^+$ を 1 個ずつ取っていけばいいのか。
そういうこと。あと電子のプラスマイナスの数合わせを忘れずに。ついでにリン酸 $\text{H}_3\text{PO}_4$ も紹介しておく。これは三段階。
$\text{H}_3\text{PO}_4\leftrightarrows\text{H}^++\text{H}_2{\text{PO}_4}^-$
$\text{H}_2{\text{PO}_4}^-\leftrightarrows\text{H}^++{\text{HPO}_4}^{2-}$
${\text{HPO}_4}^{2-}\leftrightarrows\text{H}^++{\text{PO}_4}^{3-}$
SNSでシェア