コロナウィルスの流行は人々の消費行動をどう変えたか
4月2日,企業などに市場情報を提供するyelpがコロナウィルスの流行によってアメリカの消費者の関心がどのように変化しつつあるかについてレポートを公表してます。
yelpはネット上のビジネスサイトのアクセスなどについて膨大なデータを分析し,消費者がどのような情報に関心を持ち,ネットにアクセスしているかを明らかにしています。外出を制限された消費者の関心は当然ながら室内での活動に移りつつあるのですが,実際どのような分野の関心が高まり,一方でどのような分野への関心が下がりつつあるのでしょうか。yelpのデータはこの問いに対し具体的な傾向を示唆するものです。
人々の関心は在宅で受けれるサービスに向けられる
室内での生活時間が増加したことで最も関心が高まったのはフィットネスや運動器具の分野で 547% の増加を示しています。その一方で,リフレクソロジー(-49%)やマッサージセラピー(-38%),ヨガ(-35%)のように主に屋外の施設でサービスを受けるサービスへの関心は減少しています。家の外でサービスを受けることが難しくなり,消費者がその代替物を求めているということです。
また,室内活動の増加によってペット分野(+144%)や映像配信サービス(+99%)への関心が高まっています。一方で人々の在宅時間の増加が住宅ローン(+129%)への関心も高めていることは意外かもしれません。
その次に関心が高まったのはいわゆる地産地消農業で 455% の増加を示しています。同時に食料品店(+186%)や果物・野菜店(129%),肉屋(96%)に対する関心も高まっており,人々の関心がコミュニティを基盤とする地域経済に向かっている点は興味深い点でしょう。
データの中からその理由を見つけることはできませんが,コロナウィルスの問題がグローバル化した現代における国境を越えた頻繁な人やものの移動に対する不安を引き起こしているのかもしれません。その一方でショッピングセンター(-61%)への関心は下がり,外出先ではなく自宅において生活の満足度を高めようする人々の傾向が読み取れます。
人々が密集するイベントへの関心は下がった
外出制限の最中では旅行(-49%)やキャンプ(-37%)への関心が下がるのは当然のことと思われますが,ブライダル(-66%)への関心が下がっているのは意外かもしれません。様々な行事の自粛ムードは結婚式を行いたいカップルにも影響を与えているようです。
関心は外食からデリバリーへ
外食が困難になる状況において,デリバリーやテイクアウトを専門とするレストランは消費者の関心を引き付けることができたようです。人々がフレンチレストラン(-59%)での優雅なディナーを諦めた一方で,手羽先(+103%)やピザ(+88%)への関心は高まりました。また醸造所(-71%)への関心が下がったのは,夜のバーで新しいお酒を探し求める楽しみが奪われた結果かもしれません。
人々はネット上で医療の情報を手に入れる
コロナウィルスの直接的な影響として,看護(+156%)や病院(+95%)への関心の高まりが挙げられます。院内感染の問題で医療機関に直接足を運ぶことに躊躇している人々が医療の情報をネット上で得ようとしています。
人々が興味を向ける意外なもの
コロナウィルスによる社会不安が小銃(+307%)への関心を高めていることは意外かもしれません。このあたりはアメリカ特有の現象と言えるでしょう。
在宅時間の増加は人々の消費傾向を変えつつある
今回の調査結果は,コロナウィルスによって人々が屋外のサービスの利用を控え,在宅で過ごす時間が増加した結果を反映しています。多くの人々が密集する場所を避け,自宅で時間を過ごすようになるとき,人々の消費への関心がどのように変化するのか。今回のレポートはその具体的なイメージを私たちに示唆しています。
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