外国語を学ぶと音楽を理解する能力も向上するという調査結果

音楽を趣味にすると言語能力が高まり,脳内の音声処理に影響を与えるという研究結果があります。

The Music Miracle: The Scientific Secret to Unlocking Your Child’s Full Potential の著者である Liisa Henriksson-Macaulay はフィンランド人が外国語が得意である理由は早期の音楽教育にあると主張しています。

音楽教育が外国語の理解力を高める

フィンランドでは,乳幼児でも歌やゲームを通じて音楽の基礎を学ぶ早期音楽トレーニングという独特の習慣があり,これが外国語を話すフィンランド人の流暢さにも影響している可能性があります。また,音楽トレーニングは脳内のあらゆる言語関連ネットワークを強化するので,外国語の習得にも効果があることが研究でも明らかになっています。

7歳までに音楽の勉強を始めると,語彙が増え,文法にも慣れ,言語IQも高くなります。母語の発達と外国語の学習の両方に役立ちます。この時期に音楽トレーニングを始めると,音の微妙な違いを処理する脳の能力を高め,発音の技能が向上します。この能力は生涯続きます。幼少期に音楽トレーニングを受けた大人は,幼少期に音楽トレーニングを受けなかった大人に比べて,外国語をより早くより効率的に学ぶことができるのです。

外国語教育が音楽の理解力を高める

それとは反対に,外国語を学ぶことが脳内の音楽の処理に影響を与えることも明らかになりました。

ヘルシンキ大学教育科学部の Mari Tervaniemi 研究部長は,北京師範大学およびトゥルク大学の研究者と共同で,中国の8~11歳の小学生を対象に,音楽と英語のトレニングプログラムに参加した子どもたちを1年間観察し,言語習得と音楽処理の脳内における関連性を調査しました。

「その結果,音楽プログラムと言語プログラムの両方が,聴覚信号の神経処理に影響を与えていることが明らかになりました」と Tervaniemi は言います。

英語のトレーニングプログラムに参加した子どもたちは,同時に音楽に関連する音の処理,音程の処理能力が向上しました。Tervaniemi によると,今回の調査結果は,発達中の脳において,音楽的な脳機能と言語的な脳機能が密接に関連しているという考え方を裏付けるものです。

音楽と言語の習得は,どちらも聴覚に影響を与えます。

音楽トレーニングでは,子どもたちは多くの歌を歌う機会があり,手話と楽譜の両方から歌えるように指導されました。放課後1時間のプログラムは週2回,学校内で行われ,一度に約20人の子どもと2人の教師が参加しました。


「どちらのプログラムでも,子どもたちは非常にインタラクティブで,子どもたちと教師とのコミュニケーションをサポートする手段がたくさんある授業内容を気に入っていました」と,北京での調査を担当したタオ教授は述べています。