魚から作るバイオプラスチックを発明 大量に捨てられる魚の廃棄物がヒント

近年マイクロプラスチックの問題が注目されていますが、その解決策の一つは細菌の働きで自然に分解されるバイオプラスチックを使うことです。

イギリスの大学を卒業したばかりのルーシー・ヒューズは魚の廃棄物からバイオプラスチックを作ることに成功しました。

”ロンドン南西部のトゥイッケナム出身のヒューズは、紅藻(こうそう)類を使用して魚の皮やうろこから抽出したタンパク質を結合し、半透明で柔軟なシート素材に強力に重なり合う結合を作成した。プラスチックのように見えたり感じたりするが、最初の試験では、それは石油由来の製品よりも強く、安全で、はるかに持続可能であることが示唆されている。”

 

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意外に多い魚類残さ

魚の廃棄物というのは釣った魚をそのまま捨てているという意味ではありません。

1匹の魚がいたとして、そのうち人間が食べる部分はおよそ半分程度です。骨や皮、うろこ、内臓など、食べられずに捨てられる部分があります。また、貝類の場合は貝殻などが廃棄物となります。農林水産省によると日本では年間360万トンの魚類残さがあると推定されており、その一部は魚粉や魚油という形で肥料などで活用されているものの、焼却や埋め立てなどで廃棄されているものも多くあると考えられています。

イギリスでも現状は同じです。イギリスの魚類残さは年間49万トンと推定され、それらは廃棄処分されています。ヒューズ氏は、プラスチックが有機物であるならば、同じ有機物である魚類残さからプラスチックが作れるのではないかと考えました。彼女が特に注目したのは魚の皮とうろこです。これらから生成したプラスチックは高い強度と柔軟性があることが分かりました。

私たちはスーパーで便利な加工食品を手に入れることができますが、それらを製造する過程において多くの有機物を廃棄していることを知っておくべきでしょう。そして、その有機物を活用する方法が見つかれば、より効率の良い環境に優しい社会を実現できるのかもしれません。日本は魚介類を多く消費する国なので、魚類残さの活用法を研究することには大きな意味があるでしょう。