【数Ⅲ複素数平面】ド・モアブルの定理を使って3倍角の公式を導出する

三倍角の公式が覚えられないです!

確かに覚えるのタイヘンだよね。

だから加法定理使って導出しようとしたんだけど計算死にました…

あー、加法定理で$\sin(\theta+2\theta)$とかやったら計算ヤバいことになるでしょ?素直に暗記したら?

絶対ムリ!

んー、ならば別の方法として複素数平面で出てくるド・モアブルを使って3倍角を求める方法ならあるよ。

そっちの方が簡単ですか?

簡単ではないけど、加法定理よりはマシかな。あと、複素数における恒等式の大事な要素があるから、これはこれで出来るようにならないといけないヤツなの。だからここで複素平面の強化を兼ねて3倍角の導出やってみようか。

試験に役立つなら。オッス、了解です!

ド・モアブルの定理を利用した三倍角の公式の導出

では実際に複素平面の極形式の基本的な形$\cos\theta+i \sin\theta$を使って3倍角の公式を求めてみましょう。

ド・モアブルの定理より

$\cos3\theta+i\sin3\theta=(\cos\theta+i \sin\theta)^3$
$=\cos^3\theta+3i\cos^2\theta\sin\theta-3\cos\theta\sin^2\theta-i\sin^3\theta$
$=(\cos^3\theta-3\cos\theta\sin^2\theta)+i(3\cos^2\theta\sin\theta-\sin^3\theta)$

複素数における恒等式の性質を利用する

ここで恒等式の性質を利用して、左右の実部と虚部をそれぞれ比較していきます。複素数では[実部]=[実部]、[虚部]=[虚部]の関係が成り立ちます。例えば、$a+bi=3+5i$なら$a=3,b=5$であることが分かります。

$i$のついているヤツとついてないヤツどうしでイコール関係が成り立つワケね。

では、実際に左右の実部と虚部でそれぞれ恒等式を作っていきます。まずは、実部どうしで式を作ります。

$\cos^3\theta-3\cos\theta\sin^2\theta=\cos 3\theta$
$\cos3\theta=\cos^3\theta-3\cos\theta(1-\cos^2\theta)$
$=\cos^3\theta-3\cos\theta+3\sin^3\theta$
$=4\cos^3\theta-3\cos\theta$

これで、コサインの3倍角ができた。

また、左右の虚部を比較すると

$\sin3\theta=3\cos^2\theta\sin\theta-\sin^3\theta$
$=3(1-\sin^2\theta)\sin\theta-\sin^3\theta$
$=3\sin\theta-3\sin^3\theta-\sin^3\theta$
$=3\sin\theta-4\sin^3\theta$

サインの3倍角はこうなる。

おー、できた。こっちの方が加法定理やるよりマシですね。

うん、そうかもね。ここでは、恒等式の性質を使って、左右の実部と虚部でイコール関係が成り立つっていう理屈を理解するのが大事よ。試験の時に公式ド忘れしちゃったときは、これで導出してみるといいよ。

これなら頑張れそう!

でも、できれば公式覚えて欲しいのだけど。

それはイヤです。

やっぱり?