【数III微分積分】e^xcos xの積分・式の中にf(x)がある積分(北海道大2016理系第2問)

$a>0$ に対し,関数$f(x)$が

$$f(x)=\int_{-a}^a\Big\{\cfrac{e^{-x}}{2a}+f(t)\sin t\Big\}dt$$

をみたすとする。(北海道大2016)

(1) $f(x)$ を求めよ。

(2) $0<a\leqq 2\pi$ において

$$g(a)=\int_{-a}^{a}f(t)\sin t\space dt$$

の最小値とそのときの $a$ の値を求めよ。

式の中にも $f$ があるのどうしたらいいんですか?
順番に説明していくけど,あとで積分の中の $f(t)$ は消去することになる。どうやって消去するかが今回のポイント。

積分式の中のf(t)を消去する


(1)から進めます。

$f(x)=\int_{-a}^a\Big\{\cfrac{e^{-x}}{2a}+f(t)\sin t\Big\}dt$

$f(t)\sin t$ は式の中に $x$ を含みません。つまり定数扱いです。ということは $f(x)$ を微分すると $f(t)\sin t$ の部分は消えることになります。したがって,$f(x)$ を微分した $f'(x)$ を利用することを考えながら,計算を進めていくと良さそうです。

まず,式を分離して二つに分けて考えます。

$\displaystyle f(x)=\int_{-a}^{a}\cfrac{e^{-x}}{2a}\space dt+\int_{-a}^{a}f(t)\sin t\space dt$

ここ,$\displaystyle\int_{-a}^{a}=2\int_{0}^{a}$ ってできます?
それは,偶関数のときだけよ。実際この式は偶関数じゃないし,判断できないときはそのままにしておく。

$\displaystyle \int_{-a}^{a}\cfrac{e^{-x}}{2a}\space dt=\Big[\cfrac{e^{-x}}{2a}\space t\Big]_{-a}^{a}$
$=\cfrac{e^{-x}}{2}+\cfrac{e^{-x}}{2}$
$=e^{-x}$

何の文字についての積分なのかに注意します。ここでは,$t$ についての積分だから,$t$ 以外の文字はすべて定数扱いです。$\cfrac{e^{-x}}{2a}$ は $t$ をふくまないので定数です。

また

$\displaystyle h(t)=\int_{-a}^{a} f(t)\sin t\space dt$

として

かけ算の式だから部分積分の公式使っていくよ。

$\displaystyle=-\Big[f(t)\cos t\Big]_{-a}^a +\int_{-a}^a f'(t)\cos t\space dt$
$\displaystyle=-f(a)\cos a+f(-a)\cos(-a)+\int_{-a}^a f'(t)\cos t\space dt$

$\cos a=\cos(-a)$ だから

$=\displaystyle\{f(-a)-f(a)\}\cos a+\int_{-a}^a f'(t)\cos t\space dt$

ここで,$\displaystyle f(x)=e^{-x}+h(t)$ だから

$f(a)=e^{-a}+h(t)$
$f(-a)=e^a+h(t)$
$f(-a)-f(a)=e^a+h(t)-e^{-a}-h(t)$
$=e^a-e^{-a}$

となるので

$\displaystyle h(t)=(e^a-e^{-a})\cos a+\int_{-a}^a f'(t)\cos t\space dt$

また $\displaystyle f(x)=e^{-x}+h(t)$ を $x$ で微分して

$f'(x)=-e^{-x}$

$h(t)$ は式の中に $x$ を含みません。つまり,$x$ で微分するとき $h(t)$ は定数扱いとなり,微分して $0$ になります。だから

$\displaystyle h(t)=(e^a-e^{-a})\cos a-\int_{-a}^a e^{-t}\cos t\space dt$

$e^x\sin x$ や $e^x\cos x$ の形の積分は解き方が決まっているので,覚えましょう。$\sin$ と $\cos$ の式を作ってジャマな部分を消去するというのが手順です。

$(e^{-t}\sin t)’=-e^{-t}\sin t+e^{-t}\cos t$
$(e^{-t}\cos t)’=-e^{-t}\cos t-e^{-t}\sin t$

作りたいのは $\cos$ の式なので,式どうしを引いて右辺の不要な $\sin$ を消去します。

$(e^{-t}\sin t-e^{-t}\cos t)’=2e^{-t}\cos t$
$e^{-t}\cos t=\cfrac{1}{2}(e^{-t}\sin t-e^{-t}\cos t)’$

左辺を積分したものは,右辺を積分したものと等しくなります。よって

$\displaystyle\int_{-a}^a e^{-t}\cos t\space dt=\cfrac{1}{2}\int_{-a}^a(e^{-t}\sin t-e^{-t}\cos t)’\space dt$
$=\cfrac{1}{2}\Big[e^{-t}\sin t-e^{-t}\cos t\Big]_{-a}^a$
$=\cfrac{1}{2}\Big\{e^{-a}\sin a-e^{-a}\cos a-\Big(e^a\sin(-a)-e^a\cos(-a)\Big)\Big\}$

$\sin(-x)=-\sin x$,$\cos(-x)=\cos x$ だから

$=\cfrac{1}{2}\Big(e^{-a}\sin a-e^{-a}\cos a+e^a\sin a+e^a\cos a\Big)$

この辺は符号ミスしやすいから丁寧に計算する。

したがって

$f(x)=e^{-x}+(e^a-e^{-a})\cos a-\cfrac{1}{2}\Big(e^{-a}\sin a-e^{-a}\cos a+e^a\sin a+e^a\cos a\Big)$

計算ミスが怖いので,いったん展開しておく。

$=e^{-x}+e^a\cos a-e^{-a}\cos a-\cfrac{1}{2}e^{-a}\sin a+\cfrac{1}{2}e^{-a}\cos a-\cfrac{1}{2}e^a\sin a-\cfrac{1}{2}e^a\cos a$
$=e^{-x}+\cfrac{1}{2}e^a\cos a-\cfrac{1}{2}e^{-a}\cos a-\cfrac{1}{2}e^{-a}\sin a-\cfrac{1}{2}e^a\sin a$
$=e^{-x}-\cfrac{1}{2}(e^a+e^{-a})\sin a+\cfrac{1}{2}(e^a-e^{-a})\cos a$ (答え)

式を微分して最小値を求める

(2)に進みます。

$\displaystyle g(a)=\int_{-a}^{a}f(t)\sin t\space dt$

(1)の計算をたどっていくと,同じ形の積分をすでに行っていることが分かります。それを利用して

$=-\cfrac{1}{2}(e^a+e^{-a})\sin a+\cfrac{1}{2}(e^a-e^{-a})\cos a$

かけ算の式の微分の公式を使う。

式を微分すると

$g'(a)=-\cfrac{1}{2}\Big\{(e^a+e^{-a})’\sin a+(e^a+e^{-a})(\sin a)’\Big\}+\cfrac{1}{2}\Big\{(e^a-e^{-a})’\cos a+(e^a-e^{-a})(\cos a)’\Big\}$
$=-\cfrac{1}{2}\Big\{(e^a-e^{-a})\sin a+(e^a+e^{-a})\cos a\Big\}+\cfrac{1}{2}\Big\{(e^a+e^{-a})\cos a-(e^a-e^{-a})\sin a\Big\}$

ここも符号ミス起きやすいから,とにかく計算丁寧に。

$=-(e^a-e^{-a})\sin a$
$=(e^{-a}-e^a)\sin a$

ここで,$(e^{-a}-e^a)\sin a=0$ とすると

問題文より,$a$ の範囲に注意して

$\sin a=0$ より
$a=0,\pi,2\pi$

また

$e^{-a}-e^a=0$
$e^{-a}=e^a$
$\cfrac{1}{e^a}=e^a$
$e^{2a}=1$
$a=0$

増減表は

$\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{c||c|c|c|c|c|}a&(0)&\cdots&\pi&\cdots&2\pi\\\hline g'(a)&0&-&0&+&0\\\hdashline g(a)&&\searrow&\text{最小}&\nearrow&\end{array}$

$g(\pi)=0+\cfrac{1}{2}(e^\pi-e^{-\pi})(-1)$
$=\cfrac{1}{2}(e^{-\pi}-e^\pi)$ (答え)