【高校化学基礎】酸化剤と還元剤・過マンガン酸カリウムとヨウ化カリウムのイオン反応式の作り方

相手から電子を奪って酸化する物質を酸化剤という。このとき,自身は還元される。

反対に相手に電子を与えて還元する物質を還元剤 という。このとき,自身は酸化される。

どういうのが酸化剤なんですか?

例えばメタン $\text{CH}_4$ と酸素の反応で言うと

$\underset{-4}{\underline{\text{C}}}\text{H}_4+2\underset{0}{\underline{\text{O}_2}}\rightarrow\underset{+4}{\underline{\text{C}}}\underset{-2}{\underline{\text{O}}}\underset{}{_2}+2\text{H}_2\underset{-2}{\underline{\text{O}}}$

炭素 $\text{C}$ を見ると,-4 から +4 になってるよね?酸化数が増えてるから自身は酸化された。つまり相手を還元しているから $\text{CH}_4$ は還元剤としてはたらいている。

反対に $\text{O}$ は酸化数が 0 から -2 になってるから自身は還元された。つまり相手を酸化しているから $\text{O}_2$ は酸化剤としてはたらいている。

酸化数で考えるんですね。

言い方変えると電子の受け渡しだよね。$\text{C}$ が -4 から +4 になってるとき,相手に電子を渡している。これが還元剤。
反対に $\text{O}$ は 0 から -2 になってるから,相手から電子を奪っている。これが酸化剤。

酸化還元反応の化学反応式

次に重要事項である過マンガン酸カリウム $\text{KMnO}_4$ と ヨウ化カリウム $\text{KI}$ の反応をやるよ。

オッケーです。

硫酸 $\text{H}_2\text{SO}_4$ で酸性にした過マンガン酸カリウム $\text{KMnO}_4$ の水溶液とヨウ化カリウム $\text{KI}$ 水溶液を反応させる。

硫酸入れるんですね。

過マンガン酸カリウムが酸化剤としてはたらくためには硫酸入れて水溶液中に $\text{H}^+$ がたくさんある状態が必要。硫酸から電離した $\text{H}^+$ を利用する仕組み。

そしてそれぞれ水溶液中で電離する。

$\text{KMnO}_4\rightarrow\underset{\text{カリウムイオン}}{\text{K}^+}+{\underset{\text{過マンガン酸イオン}}{{\text{MnO}_4}^-}}$

$\text{KI}\rightarrow\underset{\text{\text{カリウムイオン}}}{\text{K}^+}+\underset{\text{ヨウ化物イオン}}{\text{I}^-}$

ここからイオン反応式を書く。

イオン反応式式?

全体の化学反応式からイオンの反応のところだけ部分的に書くヤツ。

酸化剤の式をつくる

まず,$\text{MnO}_4^-$ からやるよ。ここから $\text{O}_4$ が電離するんだけど,酸化数を確認してね。

[酸化剤] $\underset{+7}{\underline{\text{Mn}}}\underset{-8}{\underline{\text{O}_4}}^-+8\text{H}^++5\text{e}^-\rightarrow\text{Mn}^{2+}+4\text{H}_2\text{O}$
何でこんな式になるの?

ある程度暗記した方がよいけど,イオン反応式は係数合わせが大事だから係数を求める部分に注意して理解していくといいよ。

まず ${\text{MnO}_4}^-$ は1価の陰イオンだから酸化数 -1。$\text{O}$ は酸化数 -2 だから $\text{O}_4$ で -8 になる。よって $\text{Mn}$ の酸化数は +7 ということが分かる。$+7+(-8)=-1$ の関係。そして電離した $\text{O}^{2-}$ は $\text{H}^+$ と化合して $\text{H}_2\text{O}$ になる。この $\text{H}^+$ は硫酸から電離したもの。

水ですね。

そういうこと。もともと $\text{O}$ が 4 個あるから $\text{H}_2\text{O}$ も 4 個できる。そのとき $\text{H}^+$ は 8 個必要になるよね。

それで $8\text{H}^+$ になるのか。

そして $\text{Mn}$ はイオンになるとマンガン(II)イオン $\text{Mn}^{2+}$ になる。もともと酸化数は +7 だからここに電子を 5 個加えると +2 になる。$+7+(-5)=+2$ ということ。こうやってマンガンの酸化数は +7 から +2 に減少するから還元されている。ということは相手を酸化しているから,酸化剤のはたらきをしている。

還元剤の式を作る

次にヨウ化カリウム $\text{KI}$。こっちは逆に還元剤としてはたらく。カリウム $\text{K}$ は1族金属元素で $\text{K}^+$ になるから,ヨウ素 $\text{I}$ は $\text{I}^-$ になるね。$\text{I}^-$ は酸化数 -1 で $\text{I}^2$ は単原子分子だから酸化数 0。酸化数が増えているから自身は酸化されて,相手を還元する。だから還元剤のはたらきをする。

[還元剤] $2\text{I}^-\rightarrow\text{I}_2+2\text{e}^-$

左辺全体の酸化数は -2 だから,右辺に$2\text{e}^-$ を加えて数を合わる。

係数合わせをしてイオン反応式を作る

[酸化剤] ${\text{MnO}_4}^-+8\text{H}^++5\text{e}^-\rightarrow\text{Mn}^{2+}+4\text{H}_2\text{O}$

[還元剤] $2\text{I}^-\rightarrow\text{I}_2+2\text{e}^-$

次にイオン反応式をつくる。このとき電子の数を基準に係数を合わせていくのがポイント。連立方程式の考えで電子が 5 個と 2 個だから 10 で合わせればよい。

$\begin{aligned}&&2{\text{MnO}_4}^-+16\text{H}^++10\text{e}^-&\rightarrow2\text{Mn}^{2+}+8\text{H}_2\text{O}\\&+)&10\text{I}^-&\rightarrow5\text{I}_2+10\text{e}^-\\\hline&&2{\text{MnO}_4}^-+16\text{H}^++10\text{I}^-&\rightarrow2\text{Mn}^{2+}+5\text{I}_2+8\text{H}_2\text{O}\end{aligned}$

左辺と右辺の $10\text{e}^-$ は打ち消し合って消える。これで出来上がり。

なるほど。

あとはあまった $\text{K}^+$ と ${\text{SO}_4}^{2-}$ を加えて全体の化学反応式ができるんだけど,とりあえずイオン反応式の係数が書ければ大丈夫だからあとは省略する。