ニューヨークでフォアグラ禁止の条例が可決 問題はその育て方にあり

アメリカのニューヨークはグルメの街ですが、そのニューヨーク州で有名なフランス料理の一つであるフォアグラが消えることになりそうです。なぜ禁止されるのか、その理由は育て方にあります。

”議員たちは、人間の消費のためにアヒルやガチョウの肝臓を太らせ強制餌食(きゅうじ)するのは残酷であると判断した。この法律は2022年10月に施行され、民間業者のフォアグラの販売、提供、または所持さえ禁止する。”

 

州議会で圧倒的多数により可決

フォアグラの販売、提供、所持を禁止する法案は議会で賛成42票、反対6票と圧倒的多数の賛成によって可決されました。法案は2022年に施行される予定で、違反者は500~2,000ドルの罰金が科せられます。

それに対してニューヨーク近郊でフォアグラを生産している農家が訴えが起こしています。フォアグラ生産農家は、フォアグラの生産は残酷なものではなく、フォアグラに反対する人々は動物の苦しみを誇張していると主張します。今回の条例で数百人のフォアグラ生産者が失業するとみられています。

強制餌食への非難

フォアグラは世界三大珍味に数えられる食材です。それはガチョウやアヒルに大量の餌を与えることによって肝臓を肥大させたもので、フランスではクリスマスや祝い事の伝統料理として消費されています。現在でもフォアグラの生産・消費の大部分はフランスで行われていますが、高級食材として価値が高いため産地は徐々に広がりつつあります。

フォアグラを得るためにガチョウの喉にチューブを入れ強制餌食する方法が用いられる。

しかし、フォアグラを手に入れるための方法は確かに残酷かもしれません。市場に出回っているフォアグラのほとんどすべては、ガチョウの口にチューブを挿入して強制的にエサを流し込む強制餌食という方法が採られています。そして、この方法は非人道的であると動物保護団体などから長い間批判され続けてきました。

同様の法案は2017年にカルフォルニア州でも可決されています。カルフォルニア州では2004年に強制餌食を禁止する法案が可決しますが、裁判によりいったん否定されたのち再び法案を通すという複雑な経緯をたどっています。

カルフォルニアもニューヨークの場合と同様に、そこにはフォアグラを生産する農家やフランス料理レストランとの対立が存在してきました。今回のニューヨークでも訴訟が起こっており、条例案が実際に機能するかどうか、裁判所の判断に注目する必要があります。