【高校化学】高分子化合物/アミノ酸と電気泳動(センター実戦)

電気泳動って等電点とかの話でしたっけ?
それそれ。ただ,実際の入試問題やると教科書で言葉覚えただけじゃダメってのが分かる。必要な知識をおさらいしてから入試問題チャレンジしてみようか。

アミノ酸のイオン

まず,アミノ酸のイオンの話。C のとなりに $-\text{NH}_2$ と $-\text{COOH}$ を持つものをアミノ酸という。$-\text{R}$ は側鎖だからアミノ酸に種類によっていろんなパターンがある。

で,アミノ酸は水に溶かすとイオンになるんだけど,溶液中で COOH から $\text{H}^+$ が電離して,それが $-\text{NH}_2$ と結合して $-{\text{NH}_3}^+$ になる。これを双性イオンといって,正と負の両方の電荷を持つ。


これ,電気的には中性ってことですか?

そういうこと。

そして,この水溶液に酸を加えると $\text{H}^+$ を受け取って陽イオンの割合が増える。


H が 1 個増えるんですね。

そうそう。酸を入れると水の中に $\text{H}^+$ が溶けるから,それがアミノ酸と結合する仕組み。

反対に水溶液に塩基を加えると $\text{H}^+$ を放出して陰イオンが増える。

塩基を入れると水の中に $\text{OH}^-$ が溶けるから,それが放出された $\text{H}^+$ と結合して $\text{H}_2\text{O}$ つまり水ができる。

ペプチド

アミノ酸どうしが結合するとき-CO-NH-のペプチド結合ってのができる。ペプチド結合が-CO-NH-ってのは暗記すべき事項。


化学の暗記ニガテ。

ペプチドシーオーエヌエッチって5回くらい唱えたら覚える。こういうの呪文だから,唱えて。
そして,アミノ酸が 2 個が縮合したものをジペプチドという。あとは 3 個ならトリペプチドで,多数ならポリペプチド
ではここから実際の入試問題でもう少し掘り下げるよ。

電気泳動の実験

次の 3 種類のジペプチド A ~ C の水溶液を,pH 6.0 の緩衝液で湿らせたろ紙に別々につけ,直流電流をかけて電気泳動を行った。泳動後にニンヒドリン溶液をろ紙に吹き付けて加熱し,ジペプチド A ~ C を発色させた。このとき陰極側に移動したもの,ほとんど移動しなかったもの,陽極側に移動したものを A ~ C で答えよ。(センター試験2017本試・改)


いきなりワケわかりませんよ。

教科書で覚えたことと実際の入試問題ってけっこう落差あるよね。だから実際に過去問解くの大事。

まず A から。上のイオンの話思い出してほしいのだけど,とにかく目をつけるところは $-\text{NH}_2$ と $-\text{COOH}$ なの。

流れとしては,$-\text{COOH}$ から $\text{H}^+$ がとれて $\text{NH}_2$ に結合する。右のほうは ${\text{NH}_3}^+$ と $\text{COO}^-$ で電気的には中性ということになる。

双性イオンでしたっけ。

そうそう。これも覚えておくところだけど,アミノ酸はpH 6.0 のあたりではたいていが双性イオンで陽イオンや陰イオンはほとんどない。

そして左のほうにもう一つ $\text{NH}_2$ があるよね。こっちにはもともと溶液中にあった $\text{H}^+$ が結合して $-{\text{NH}_3}^+$ になる。こうして全体としては電気的にプラスになる。だからマイナスに引き寄せられる。よって A は陰極側。

はいはい質問。$\text{COO}^-$ のところに溶液中の $\text{H}^+$ が結合したりしないんですか?

酸性が強ければそうなる。pH 6.0 あたりではそうならないと思って。

ああ,そういうこと。

次に B。

今回は $-\text{NH}_2$ と $-\text{COOH}$ が同じ数ずつあるから電気的に中性になる。

じゃあ,B はほとんど移動しない。

最後に C。


大体分かった。マイナスのほうが数が多いから電気的にマイナスで陽極側に移動ですね。

その通り。

正解:

陰極側に移動したもの A

ほどんと移動しなかったもの B

陽極側に移動したもの C

解けたけどアミノ酸だけで覚えること多すぎ。

化学はホントそういうところタイヘンだよね。暗記がんばれ。