完全数が成り立つことを示す(東京都立大2019文系第4問)

$n$ を 2 以上の自然数とする。$n$ の正の約数のうち,$n$ 以外のものをすべて並べる。それらの総和が $n$ であるとき,$n$ を完全数という。例えば,6 の正の約数のうち,6 以外のものは 1,2,3 であり,それらの総和は $1+2+3=6$ である。したがって,6 は完全数である。以下の問いに答えなさい。(東京都立大2019)

(1) 496 は完全数であることを示しなさい。

(2) $m$ を 2 以上の自然数とする。$2^m-1$ が素数であれば,$2^{m-1}(2^m-1)$ は完全数であることを示しなさい。

約数の総和

(1)から始めます。

まず,496 の約数を求めるために,素因数分解します。

$496=2^4\times31$

ここから,素因数どうしをかけ合わせることで約数を作ることができました。

約数は

$2^0\times31^0,2^1\times31^0,2^2\times31^0,2^3\times31^0,2^4\times31^0$
$2^0\times31^1,2^1\times31^1,2^2\times31^1,2^3\times31^1,2^4\times31^1$

となるので,約数の総和から 496 を除くと

$(1+2+4+8+16)+(1+2+4+8+16)\times31-496$
$=(1+2+4+8+16)(1+31)-496$
$=31\times32-496$
$=992-496$
$=496$ (証明終わり)

偶数の完全数を示す

(2)に進みます。

どうしたらいいの?
(1)でやった計算がヒントになる。$2^{m-1}(2^m-1)$ を考えたとき,$2^{m-1}$ の部分が(1)では $2^4$ で,$2^m-1$ の部分が(1)では 31 になる。つまり,$m=5$ のとき,$2^{m-1}(2^m-1)$ は 496 になるってこと。

そこで,(1)と同じ手順で計算式を作ってみます。

$(2^0+2^1+2^2+\cdots+2^{m-1})+(2^0+2^1+2^2+\cdots+2^{m-1})(2^m-1)-2^{m-1}(2^m-1)$

ゴール地点を決めるよ。この式が最終的に $2^{m-1}(2^m-1)$ になれば,完全数であるということになる。

$=(2^0+2^1+2^2+\cdots+2^{m-1})(1+2^m-1)-2^{m-1}(2^m-1)$
$=2^m(2^0+2^1+2^2+\cdots+2^{m-1})-2^{m-1}(2^m-1)$

ここで,$2^0+2^1+2^2+\cdots+2^{m-1}$ は初項 1,公比 2 の等比数列の和です。

項数は数えられる?
$m-1$ 個ですか?
気を付けて。数列が $2^1$ から始まるなら項数は $m-1$ 個でいいけど,$2^0$ があるからもう 1 個増えるよ。
じゃあ,$m$ 個か。

等比数列の初項を $a$,公比を $r$,項数を $n$ とすると,その和は
$\cfrac{a(r^n-1)}{r-1}$

等比数列の和の公式より

$=2^m\cdot\cfrac{1\cdot(2^m-1)}{2-1}-2^{m-1}(2^m-1)$
$=2^m(2^m-1)-2^{m-1}(2^m-1)$
$=(2^m-2^{m-1})(2^m-1)$
$=\Big(2^m-\cfrac{2^m}{2}\Big)(2^m-1)$
$=\cfrac{2^m}{2}(2^m-1)$
$=2^{m-1}(2^m-1)$ (証明終わり)