【整数の性質・数列】連続する3つの整数の積は6の倍数である-その仕組みと実戦問題(東京都立大2016理学部第3問)

数IAで習った整数の性質を使って数列の証明をやるよ。数学的帰納法も使うから証明の書き方を習得して。

$p,q,r$ を整数とし,数列

$a_n=pn^3+qn^2+rn$ $(n=1,2,3,\cdots)$

を考える。以下の問いに答えなさい。(東京都立大2016)

(1) $p+r=q=0$ のとき,すべての自然数 $n$ に対し $a_n$ は 6 の倍数であることを示しなさい。

(2) $q$ が 3 の倍数でないとき,$a_2-2a_1$ は 6 の倍数ではないことを示しなさい。

(3) $a_1$ と $a_2$ がともに 6 の倍数であれば,すべての自然数 $n$ に対し $a_n$ は 6 の倍数であることを示しなさい。

連続する3つの整数の積は6の倍数

(1)から始めます。

ここでは,以下の法則を利用します。

連続する 3 つの整数の積は 6 の倍数である。

なんでそうなるの?

整数を並べてみましょう。

1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,…

連続する 3 つの数を適当に選んでみます。

たとえば,3,4,5 を選んだとき,3 は 3 の倍数で,4 は 2 の倍数です。よって,2 の倍数×3 の倍数= 6 の倍数となります。

$3\times4\times5=3\times2\times2\times5$
$=6\times(2\times5)$

今度は 11,12,13 を選びます。

$11\times12\times13=11\times3\times2\times2\times13$
$=6\times(2\times11\times13)$

やはり,6 の倍数となります。

つまり,こういうことです。

3 の倍数は 3 つごとに登場します。したがって,連続する 3 つの整数を選んだとき,そのうちの 1 つは必ず 3 の倍数です。

3 の倍数が奇数のとき,その前とうしろは偶数,つまり 2 の倍数なので,かけ合わせると 6 の倍数になります。

8,9,10 もこれか。

また,12 のように 3 の倍数が偶数のとき,その数は 2 の倍数かつ 3 の倍数,つまり 6 の倍数です。

他にも 17,18,19 とか当てはまるヤツ。18 はそのそも 6 の倍数だよね。

こうして,すべての整数において,連続する 3 つの整数の積は 6 の倍数であると言えるのです。

問題を解いていきましょう。

$p+r=q=0$ より $q=0$ だから

$a_n=pn^3+rn$

また,$p+r=0$ より $r=-p$ だから

$a_n=pn^3-pn$
$=pn(n^2-1)$
$=pn(n+1)(n-1)$
$=p(n-1)n(n+1)$

$(n-1)n(n+1)$ は連続する 3 つの整数の積であるから,6 の倍数である。

したがって,$a_n$ は 6 の倍数である。(証明終わり)

6 の倍数ではないことを証明する

(2)に進みます。

$a_2-2a_1=8p+4q+2r-2p-2q-2r$
$=6p+2q$

$q$ が 3 の倍数でないとき,$2q$ は 6 の倍数でない。したがって,$a_2-2a_1$ は 6 の倍数ではない。(証明終わり)

逆に言うと $q$ が 3 の倍数なら,$2q$ は 2 の倍数かつ 3 の倍数,つまり 6 の倍数になる。だから $6p+2q$ も 6 の倍数になるよね。

数学的帰納法

(3)に進みます。

問題文の「すべての自然数 $n$ に対し・・・」の辺りから,これは数学的帰納法で証明する問題であることにピンとくると良いでしょう。

ピンと来ない場合は?ピンと来ない場合は?
練習量不足。

まずは,$a_1$,$a_2$ を定義します。

$a_1=p+q+r$
$a_2=8p+4q+2r$
$=6p+2q+2(p+q+r)$
$=6p+2q+2a_1$

$a_1$ は 6 の倍数だから,$2a_1$ は 6 の倍数です。

また,$a_2$ は 6 の倍数だから,$2q$ も 6 の倍数でなければつじつまが合いません。

$a_2$ は 6 の倍数だから,$2q$ は 6 の倍数である。・・・①

ここから,数学的帰納法を用いて証明しましょう。

すべての自然数 $n$ に対し $a_n$ は 6 の倍数であると仮定すると

[I] $n=1,2$ のとき

問題文より,$a_n$ は 6 の倍数である。

[II] $n=k+1$ として,$a_k$ は 6 の倍数であると仮定すると

$a_{k+1}=p(k+1)^3+q(k+1)^2+r(k+1)$
$=pk^3+3pk^2+3pk+p+qk^2+2qk+q+rk+r$

項を並べかえて

$=(pk^3+qk^2+rk)+3pk^2+3pk+2qk+(p+q+r)$
$=a_k+3pk(k+1)+2qk+a_1$

ここで,$k(k+1)$ は偶数である。

また法則か。
そう。整数の性質。たとえば,5,6 とか,9,10 とか考えると,連続する 2 つの整数のどっちかは必ず偶数だから,その積は偶数,つまり 2 の倍数になる。

よって,$3pk(k+1)$ は 6 の倍数である。

また,①より $2q$ は 6 の倍数である。さらに,$a_1$ は 6 の倍数である。

したがって,$a_k$ が 6 の倍数であると仮定すると,右辺のすべての項は 6 の倍数だから,$a_{k+1}$ は 6 の倍数である。

[I],[II] より,すべての自然数 $n$ に対し $a_n$ は 6 の倍数である。

(証明終わり)