殺人事件は世界中で減少している その原因とは?
日本で1年間に殺人事件はどのくらい起こっているのでしょうか。
警視庁によると、2018年度に日本で起こった殺人事件の件数は915件となっています。この数字を多いと考えるか少ないと考えるかは客観的な判断が難しいところですが、この数字から言えば少なくとも名探偵コナンは日本の殺人事件の1パーセント以上に関係していることが分かります。これは驚くべきヒット率です。
探偵フィクションが殺人事件を必要としていても、実際の日本での殺人事件件数は減少し続けています。1945年以降で言えば、日本で殺人事件の件数が最も多かったのは1954年の3,081件でした。その後、1970年に2,000件を下回り、この10年では900から1,000件ほどで推移しています。
また、殺人事件の件数が減少しているのは日本だけではありません。実は世界中で見ても殺人事件の件数は減少傾向にあるのです。
”独自の文化、刑事司法政策、ガバナンスのシステムがあるにもかかわらず、北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの国々では、同じ期間に似たような規模で殺人の減少がみられる。”
殺人事件は世界規模で減少している
殺人事件は日本以外の国でも減少しつつあります。例えばアメリカでは殺人事件は1980年代まで増加傾向にあり、1993年には最も多い24,526件の殺人事件がありました。しかし、その数は2018年には16,214件に減少しています。
調査によると、1990年から2015年の間に北米と西ヨーロッパでは殺人事件が46%減少し、アジアでは38%、オセアニアでは22%減少しています。一方で、ラテンアメリカでは殺人事件の件数は9%増加しており、アフリカもデータが不足しているものの増加していると考えられています。
減少の理由は高齢化
アメリカにおいても、なぜ殺人事件が減少したのかということについて原因の究明が行われています。今のところアメリカで犯罪全体が減少した理由として、警察の増員や刑務所の拡充、薬物根絶の成果、中絶の合法化、経済の改善、移民の増加などさまざまな要因が挙げられています。移民の増加が犯罪率を下げるというのは一見すると意外に思えるかもしれませんが、メキシコ系移民に対する調査では移民の犯罪率はむしろ低いことが分かっています。
殺人事件が減少した理由は様々な社会的要因が考えらえるため、一概にその理由を説明することはできません。しかし、殺人事件が減少した地域に共通しているのは、いずれも高齢化が進行していることです。
年齢別に見た場合、犯罪を犯す割合が最も高いのは20代前半で、その後は減少し続けます。世界人口の年齢の中央値は1950年の24歳から2019年には31歳になっており、社会の高齢化が犯罪率の減少につながっていると考えることができます。
高齢化は確かに大きな問題ではあるのですが、安全で安定した社会をもらたすという点では利点もあると言えるのです。
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