数学的帰納法って何書いたらいいのか分からないです。
確かに問題によっては証明のやり方に苦労するよね。ただ、基本的な書き方は決まってるから、おさらいしてから例題やってみようか。
数列 {an} は
a1=2, an+1=an+22an+2 (n=1,2,3,⋯)
で定められているとする。n が自然数のとき、数学的帰納法を用いて 2<an を示せ。(香川大・改)
基本的な書き方
「~」を(A)とする。
[1]
n=1 のとき
…
よって、
n=1 のとき(A)が成り立つ。[2]
n=k のとき(A)が成り立つと仮定して、
n=k+1 のとき
…
よって、
n=k+1 のときも(A)が成り立つ。[1]、[2]より、すべての自然数
n について(A)が成り立つ。
問題の種類によってこの通りじゃないときもあるけど、まずは基本の書き方を覚えてね。
帰納法の書き方に従って証明する
2<an を(A)とする。
[1] n=1 のとき
a1=2 だから、2<a1
よって、n=1 のとき(A)が成り立つ。
[2] n=k のとき(A)が成り立つと仮定して、
n=k+1 のとき
ak+1=ak+22ak+2
ak+1=ak+22(ak+2)−2
2(ak+2)−2 は展開して
2ak+4−2=2ak+2 だから、もとに戻るでしょ?こうやって分母と分子でムリヤリ同じ形を作るの。この式は分母と分子でどっちにも
ak があって、このままだと計算できないから、約分するの。
ak+1=2−ak+22
いっぺん仮定として
2<an が成り立つとしているから、これを使う。
でも、それ証明する式そのものですよね。結果を使ってもいいのがイマイチ腑に落ちない。
成り立つという仮定で話をしていくのだから使ってもいい。もし実際やってみて、最終的な式が仮定と矛盾することになれば、それは
仮定がおかしいってことになる。とりあえず、
n=1 のときは(A)が成り立ったとしても、
n=k+1 で成り立たないなら
(A)自体が実は成り立たないじゃん!ってことになる。
つまり、仮定に乗っかって式を作ってみたら矛盾しなかった、となれば仮定が正しかったということになる。
言ってみれば理科の実験みたいなものだよね。ゴムのボールと鉄の球を同時に落としたら物体の落下するスピードは同じである。つまり同時に地面にぶつかる。そういう仮定を立てて実際に二階の窓から二つの球を落としてみたら、ちゃんとその通りになった。ゆえに最初の仮定は正い、みたいな証明法。
そういうこと。色んな実験結果から一つの法則を導く、みたいなやり方を帰納法っていうの。ここでは全ての自然数
n の実験結果から仮定した法則がちゃんと成り立つよってのを証明しようとしているってことだよね。
もちろん、すべての
n の値について実験することはできないから、代わりに
k と
k+1 ですべての自然数の代わりってことにしている。
では、ここから仮定である
2<an を使って、
ak+1 でも不等式が成り立つかどうか実験してみましょう。
2<ak
ここから、
ak+1=2−ak+22 を意識して式変形していきます。
2+2<ak+2
2+21>ak+21
2+22>ak+22
例えば、
2<3 なら
21>31 みたいに、逆数をとったら不等号が入れかわることに注意。
−2+22<−ak+22
ここも、
2<3 なら
−2>−3 だからね。不等号をよく考えて。
2−2+22<2−ak+22
最終的に作りたい形は
2<ak+1 だから、そこを目指して式変形していく。
ak+1=2−ak+22 だったので
2−2+22<ak+1
2+222+4−2<ak+1
2+222+2<ak+1
(2+2)(2−2)2(2+1)(2−2)<ak+1
2−42(2−22+2−2)<ak+1
−2−22<ak+1
2<ak+1
よって、
n=k+1 のときも(A)が成り立つ。
[1]、[2]より、すべての自然数 n について(A)が成り立つ。
n=k+1 のとき成り立つっていうことは、まず
n=1 で成り立つことが分かっているのだから、その次の
n=2 でも成り立つし、
n=3,4,5,6,⋯ でも成り立つということになる。結果、すべての
n で成り立つことになる。これが、数学的帰納法。
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