【高校数学・数列】特性方程式はどうして引き算するのか? ざっくりイメージで理解する

数列で特性方程式習ったけど、何で一般項でるのか意味が分からない。

学校の授業とかでも「そういうもんだと思って覚えろ」としか言われないこと多いよね。特性方程式が成り立つメカニズムってかなり複雑で、正確に説明したらまったくピンとこない話になる。

それだとすっきりしないです。

じゃあ大まかなイメージだけ説明するから、それで納得して。

了解です。

特定方程式のおさらい

例題 $a_1=1,\space a_{n+1}=3a_n+4$ の一般項を求めよ。

こういう形を $pa_n+q$ 型の漸化式といいます。このとき $\alpha=3\alpha+4$ という式(特性方程式)を作って引き算をします。
$\begin{matrix}&a_{n+1}&=&3a_n+4\\-)&\alpha&=&3\alpha+4\\\hline &a_{n+a}-\alpha&=&3(a_n-\alpha)&\cdots\text{①}\end{matrix}$
次に $\alpha$ を求めます。
$\alpha=3\alpha+4$
$\alpha=-2$
よって①は
$a_{n+1}+2=3(a_n+2)$
ここで $a_n+2=b_n$ として
$b_{n+1}=3b_n$
よって $b_n$ は等比数列である。

また、$b_1=a_1+2=1+2=3$ だから、$b_n$ の一般項を求めると
$b_n=3\cdot 3^{n-1}=3^n$ 
$a_n+2=3^n$
$a_n=3^n-2$(答え)

で、何で引くの?

数列が2階建てになる

例題でやったように、特性方程式を作ったあとに引き算をします。ここでやっていることの意味をおおまかなイメージで説明しましょう。

まず、例題の答えは $a_n=3^n-2$ となっていて、形としては 等比数列+定数 の形になっています。
この数列を関数のように考えて $y=3^x-2$ とするとグラフは以下のようになります。

このグラフは2階建て構造になっていて、等比数列と階差数列に分けることができます

さらにこの階差数列は 等比数列+定数 という形になっています。


はあ。

そして、この2つの等比数列は同じものになります。よって、等比数列+定数 となります。


で、$\alpha$ を引くのは?

ざっくりとしたイメージとして捉えてほしいのだけど、$\alpha$ の式を引くことで定数の部分を消去して等比数列の部分だけを残すっていう作業をしているの。そこはそういうマジックだと思って。いったん、求めたい数列から定数の部分を引っこ抜いて等比数列として考える。等比数列の形が分かったら、そこに定数の部分を足して本来の数列に仕上げる、というプロセス。

$\alpha$ は定数部分っていうことなんですね。

そういうこと。等比数列の形を求めるために、いっぺん定数部分を除いていると考えるといいよ。

根拠となる数式

最後に、今回の解説の根拠となる式を紹介します。

$a_{n+1}=pa_n+q$ のとき、各項を求めると
$a_1=a_1$
$a_2=a_1 p+q$
$a_3=p(a_1 p+q)+q$
$=a_1 p^2+qp+q$
$a_4=p(a_1 p^2+qp+q)+q$
$=a_1 p^3+qp^2+qp+q$
$a_n=a_1 p^{n-1}+qp^{n-2}+qp^{n-3}+\cdots+qp+q$

ここから、$qp^{n-2}+qp^{n-3}+\cdots+qp+q$ の部分は階差数列であり、初項 $q$、公比 $p$ の等比数列の和であることが分かる。したがって
$\displaystyle a_n=a_1 p^{n-1}+q+q\sum_{k=1}^{n-2} p^k$
$\displaystyle =a_1 p^{n-1}+q+q\frac{p(1-p^{n-2})}{1-p}$
$\displaystyle =a_1 p^{n-1}+q+\frac{1}{1-p}(qp-qp^{n-1})$
式を$p^{n-1}$ についてまとめると
$\displaystyle =\frac{(1-p)a_1 p^{n-1}-qp^{n-1}}{1-p}+q+\frac{qp}{1-p}$
$\displaystyle =p^{n-1}\frac{(1-p)a_1-q}{1-p}+q+\frac{qp}{1-p}$
ここで $\alpha=\alpha p+q$ とおくと
$\alpha-\alpha p=q$
$\displaystyle \alpha=\frac{q}{1-p}$
これを式に代入すると
$=(a_1-\alpha)p^{n-1}+\alpha p+q$
よって、式は 等比数列+定数 の形になる。